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渓流魚で食育推進 和食文化を知る

投稿日:2019年11月20日

2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、世界的にもひとつの「食文化」として浸透しつつある「和食」。料理そのものだけでなく、日本人の在り方も評価を受けています。

日本人は自然と共存しながら、古来より食に関する工夫をし、習わしや知恵などをもって食文化を築きあげてきました。時代が進むにつれ、外国からの食文化も流入し、現代では日本人の食の乱れも指摘されるに至っています。

特に危惧されているのが、子どもの食生活です。最近では、国をあげて「食育」として、子どもたちに正しい食について教える機会が増えています。

今回は、和食文化と渓流魚(川魚)についてお伝えし、食育についても考えてみたいと思います。

和食とは何か?

「和食とは何ですか?」
改めて問われたとき、あなたならどう回答するでしょうか。説明しようとすると、実に様々な角度からアプローチすることができるので迷ってしまうと思います。端的に、分かりやすく和食を説明するキーワードとして、農林水産省の和食ガイドブックには以下の4つの要素が挙げられています。(※1)

食材


和食は、四季の変化に富んだ日本の風土的な特色を活かし、米を中心に野菜や魚など食材の種類が豊富です。日本は島国であることから漁場に恵まれていて、魚を使った料理の種類が多いことも特徴としてあげられます。

料理


食材をおいしく食べるために発達した出汁(だし)や、主食である米を味わうために工夫された「一汁三菜」という様式があります。また、煮る、蒸す、茹でるという水に恵まれた風土ならではの調理法があげられます。

栄養


和食ならではの「うま味」によって、余計な塩分やカロリーを制限することができます。魚や野菜を中心としていることから動物性脂質の摂取も少なく、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べることで理想的な栄養バランスを保つことができるとされています。

もてなし


渓流魚の手毬寿司


四季の移ろいに富んだ日本ならではの季節感を、料理や器で表現しています。「いただきます」「ごちそうさま」というあいさつに代表されるように食空間におけるふるまいにも重きを置くなど、料理を提供する側・提供される側の関係を大切にしているのも特徴です。

このように4つの観点で説明すると、和食がより理解しやすくなりますね。

☑参考

※1「和食ガイドブック」農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/pdf/guide_all.pdf

和食文化は食育にもピッタリ

昨今、幼稚園や学校では、和食に関する食育活動が盛んに行われているようになっています。実際、旬の豊富な食材を使い、栄養面でもバランスがとれている和食は、子どものいる家庭での食育推進にも効果的です。
その主な理由として、以下の3点があげられます。(※2)

1.身近な素材を健康的に調理できる


和食で使われる食材は、身近な地元で採取されたものが多くなります。調理方法も、出汁のうま味をベースとしていることから、多分な味つけをする必要がありません。素材そのものの持ち味を生かすため、子どもに素材の魅力を伝えることができるのです。

2.家族で囲む食卓を楽しむ


和食は小さな子どもからお年寄りまで楽しむことができる料理です。低カロリーでさっぱりしたものも多いため、世代を超えて同じ料理を食すことができます。さらに、子どもの成長を祝ったり、季節の行事を楽しむ際には「お祝い膳」があることから、ハレの日を賑やかに、家族で食卓を囲むことができます。

3.旬の食材を活用しやすい


旬の食材を大切にするのも和食の特徴です。その時々に新鮮な食材をおいしく頂く、そのための調理の工夫が沢山あります。旬の食材は栄養価が高くうま味も増していて、流通量も増えるため価格もお手頃になるというメリットもあります。

☑参考

※2「ベビーへの味覚の贈り物 和食まるごとBOOK」農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/attach/pdf/index-27.pdf

和食に欠かせない渓流魚(川魚)

このように良いことづくめの和食ですが、渓流魚(川魚)も和食において欠かすことのできない食材であることをご存知でしょうか。

島国である日本は優れた漁場に恵まれており、和食の中で魚が野菜と並んで中心的な役割を果たしていることは先に触れた通りです。季節に応じてとれる魚の種類も変わってくるので、私たちは魚を食することで季節の変化を敏感に感じとることもできます。

さらに、魚の調理法が豊富にあることもまた和食の特徴のひとつでもあります。蒸したり茹でたりするだけでなく、煮つけにしたり粕漬にしたり、昆布で〆たり、世界的には珍しく生で食すこともあるなど、その楽しみ方は多岐に渡ります。

海から離れていて海水魚が手に入りにくい地域では、淡水の河川で獲れる渓流魚(川魚)が昔から和食の大きな役割を担ってきているのです。

代表的なものでいうと、鮎(アユ)、岩魚(イワナ)、虹鱒(ニジマス)、鮒(フナ)、鰻(ウナギ)、鯉(コイ)などがあげられます。これらの川魚は、和食にみられる多様な調理法によって、それぞれの素材に適したかたちで私たちの舌を楽しませてくれます。

その土地で、素材の特徴を生かした調理法が独自に発展を遂げ、日本各地でバラエティに富んだ川魚が家庭の食卓を彩っているのです。

☑参考

※3「和食ガイドブック」農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/pdf/guide_all.pdf
※4「特集2 新・日本の郷土食(2)」農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1206/spe2_02.html

栄養面でのバランスに優れ、素材を生かした調理法を楽しむことのできる和食。中でも魚は、和食における中心的な素材として日本人の健康を古くから支えてきたといっても過言ではありません。

特に渓流魚(川魚)を用いた食育であれば、歴史や文化に触れ、身近な河川でもとれる魚に親近感をもち、子どもの食事に深みが増すこと間違いなしです。渓流魚を使った食事が、ご家庭での食育推進にピッタリであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

毎日の夕飯のメニューに困ったら魚を中心に、この和食の献立を考えてみるのもおすすめです。そのバラエティの中に、ぜひ渓流魚を取り入れてみましょう!
渓流魚の下処理方法が分からない、忙しくて焼く時間がない、煮たり漬けたりといった調理は手間がかかるのでやりたくない……というのも正直なところですよね。

今では川魚の養殖も進み、フィレ(柵)だけでなく、様々な加工品も出てきています。加工品なら解凍したり、温めるだけで食べることができます。 今晩のおかずにヘルシーな主役の一品、渓流魚(川魚)をご家庭での食育推進に活用してみてはいかがでしょうか。